顔の障害 / 顔面線状痕・瘢痕・挫創 の解決事例

85 顔面部に第9級16号に該当する線状痕が残存した女性被害者の逸失利益について、労働能力喪失率5%として67歳までの労働能力喪失期間が認められた事案。

顔の障害顔面線状痕・瘢痕・挫創

後遺障害等級9級16号 :顔の障害 / 顔面線状痕・瘢痕・挫創 、28歳、女性、無職

第9級16号:醜状障害
顔面部に第9級16号に該当する線状痕が残存した女性被害者の逸失利益について、労働能力喪失率5%として67歳までの労働能力喪失期間が認められた事案です。

  1,170
万円
保険会社提示額 660 万円
増加額 510 万円

交通事故状況

被害者は、青信号に従い横断歩道を歩行中、左折車に衝突され、顔面部を受傷しました。

ご依頼者のご要望

被害者は、事前認定により、左眉近くに線状痕が残存したとして第9級16号が認定されていました。また、被害者は、保険会社から損害賠償金の提示を受けており、提示された金額が妥当かどうか確認するため、当事務所にご相談に来られました。

受任から解決まで

当事務所にて保険会社からの提示内容を確認したところ、保険会社は、被害者に対して、損害賠償金として約660万円と提示していました。
しかし、その内訳を見ると、後遺障害部分の損害賠償金としては、第9級相当の自賠責保険金616万円と算出されており(通常、任意保険会社は、被害者との間で示談を締結した後、加害者が付保する自賠責保険に対して求償を行うため、仮に、後遺障害部分の損害賠償金を616万円として示談した場合には、任意保険会社の後遺障害部分に関する負担は、実質的にゼロとなります。)、最低限の損害賠償金しか提示されていませんでした。
そこで、適切な逸失利益及び後遺障害慰謝料の賠償を受けるべく、当事務所にて受任し、賠償交渉を開始しました。

醜状障害が残存した場合の逸失利益

顔面部に長さ5cm以上の線状痕が残存した場合には、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として、第9級16号に該当します。
この点、後遺障害等級表では、第9級の労働能力喪失率は35%と規定されていますが、醜状障害の場合には、逸失利益が認められるかどうか、もしくは、逸失利益が認められるとしても、後遺障害等級表が規定する労働能力喪失率が認められるかどうか等の点が争点となることが多くあります。
特に、今回の事案では、被害者は、事故時まで就労した経験がなく、事故後に初めて就労したという事情があり、事故によって残存した醜状障害が就労に対して影響を与えていないからこそ就労を開始できたとも考え得るため、被害者と保険会社の間で、逸失利益の有無を巡り、主張が真っ向から対立しました。
しかし、現時点では就労できたとしても、醜状障害が残存したことにより職務内容が制約される可能性があること将来的に転職を希望したとしても、醜状障害が残存したことにより職業選択の幅が制約される可能性があることなど、醜状障害が職務に対して影響を及ぼさないとは言い難く、逸失利益が認められてしかるべきです。
そこで、当事務所では、このような点を粘り強く主張した結果、就労可能年限に至るまでの逸失利益が認められるに至り、被害者の方からもご満足を頂くことができました。
当事務所では、これまで、今回の事案のほかにも、顔面部に醜状障害が残存した事案を何件も取扱っており、当初は保険会社が逸失利益を否定していたものの、交渉を継続し、いずれの事案でも、逸失利益を獲得しております。
もし、お顔に怪我を負ってしまった場合や、保険会社から提示された賠償金額に疑問を感じた場合など、ご不安・ご不明な点がございましたら、ぜひ当事務所までご相談下さい。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

顔面部に線状痕が残存した被害者について、事故時まで就労した経験がなく、事故後に初めて就労を開始したものの、逸失利益が認められました。