上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 / 橈骨・尺骨骨折 の解決事例

73 左橈骨遠位端骨折後の疼痛等の症状につき第12級13号が認定された男性会社員について、症状固定時の38歳から就労可能年限の67歳に至るまで29年の労働能力喪失期間が認定され、保険会社提示額の約270万円から、約6倍の1600万円に増額した事案

上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害橈骨・尺骨骨折

後遺障害等級後遺障害別等級12級~13級13号 :上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 / 橈骨・尺骨骨折 、30代男性、会社員

神経症状
左橈骨遠位端骨折後の疼痛等の症状につき第12級13号が認定された男性会社員について、
症状固定時の38歳から就労可能年限の67歳に至るまで29年の労働能力喪失期間が認定され、
保険会社提示額の約270万円から、約6倍の1600万円に増額した事案です。

  1,600
万円
保険会社提示額 270 万円
増加額 1,330 万円

交通事故状況

被害者は、自動二輪車を運転して青信号に従い交差点を直進進行していたところ、対向方向より、早回り右折をした四輪車に衝突され、左橈骨遠位端骨折等の傷害を負いました。

ご依頼者のご要望

被害者は、保険会社から損害賠償金の提示を受けており、提示金額が妥当か確認したいとして、ご相談に来られました。

当事務所にて提示金額を確認したところ、逸失利益が0円と認定されていたほか、慰謝料も保険会社基準により算出され、裁判基準と比較して大きな差が生じており、賠償金額の大幅な増額が見込まれました。

受任から解決まで

当事務所にて受任後、裁判基準により損害額を算出し、保険会社との間で賠償交渉を開始しました。

その結果、傷害慰謝料及び後遺症慰謝料のいずれも裁判基準満額が認定されたほか、逸失利益についても、症状固定時の38歳から就労可能年限の67歳に至るまで29年の労働能力喪失期間が認定されました。

その結果、損害賠償額は、保険会社が被害者に対して提示した約270万円から、約6倍の約1600万円に増額し、任意交渉により解決しました。

第12級13号の場合における労働能力喪失期間

赤い本は、労働能力喪失期間について、「労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳とする。」とする一方で、「むち打ち症の場合は、12級で10年程度、14級で5年程度に制限する例が多く見られるが、後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきである。」としており、保険会社は、後者の記載を念頭に置いたものと思われますが、傷病名に留意することなく、第12級13号が認定された場合には、労働能力喪失期間は最長でも10年に留まる旨を主張する事案が多く見られます。

しかし、赤い本は、あくまで「むち打ち症の場合は」としていること、また、むち打ち症の場合でさえ、「後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきである。」としていることからすれば、各事案に応じて、傷病名や後遺障害の内容等を精査し、個別具体的に労働能力喪失期間を認定する必要があると言えます。

本件について検討すると、被害者には、左橈骨遠位端骨折後の疼痛等の症状が残存していたところ、自賠責保険により「提出の画像上、左手関節部の不整が認められ、他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えられることから」と認定されたことからすると、関節部に不整合が存する以上は同部の疼痛等が生じ得ると言えますので、後遺障害の具体的症状等を踏まえれば、労働能力喪失期間を10年に制限することは妥当ではありません。

本件では、このように、被害者に残存した後遺障害の具体的な症状等を踏まえた主張を行うことにより、労働能力喪失期間を10年に制限することなく、症状固定時の38歳から就労可能年限の67歳に至るまで29年の労働能力喪失期間が認められ、被害者にもご満足頂くことができました。

このように、逸失利益は、弁護士が賠償交渉を行うか否かにより、労働能力喪失期間の認定が異なるため、賠償金額に大きく影響します。

保険会社から提示された賠償金額が妥当かどうかご不安のある方がおられましたら、示談される前に、一度、弁護士までご相談下さい。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

第12級13号が認定された被害者の逸失利益の労働能力喪失期間について、10年に制限されることなく、症状固定時の38歳から就労可能年限の67歳に至るまで29年の労働能力喪失期間が認められました。

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