頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 の解決事例

79 代表取締役(会社役員)について、賃金センサスを踏まえた基礎収入を前提として通院実日数を乗じた休業損害が認められた事案。

頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫

後遺障害等級後遺障害別等級14級9号 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、50代男性、代表取締役(会社役員)

神経症状
代表取締役(会社役員)について、賃金センサスを踏まえた基礎収入を前提として通院実日数を
乗じた休業損害が認められた事案です。

  440
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

停止中に後続車に追突され、被害者は、頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負いました。

ご依頼者のご要望

被害者は、ご相談時、第14級9号が認定されていました。

被害者は、受傷後、代表取締役として十分な仕事をすることができなかったため、自身の役員報酬を減じたという事情があり、休業損害の賠償を認めてほしい等のご希望を有しておられました。

受任から解決まで

受任後、裁判基準にて賠償額を積算して保険会社と賠償交渉を開始しました。

しかし、保険会社は、被害者が代表取締役であることを理由として、休業損害を否認しました。

そこで、交通事故紛争処理センターへと申立てをし、休業損害が認められるべきとの主張をしました。

その結果、休業損害を認める旨の斡旋案が提示されたことから、斡旋案を受諾して解決しました。

示談交渉

保険会社は、被害者が代表取締役であることを理由として、休業損害を否認しました。

また、保険会社は、逸失利益も同様に否認しました。

しかし、被害者が経営する会社は、企業規模が大きくないこと、被害者の肩書は代表取締役であるものの、実際は、自ら営業活動を行い、受注した業務を処理していることから、実質的には事業所得者と言えました。

そこで、当事務所では、事業所得者の休業損害の算定方法に準じて、怪我の影響により業務のパフォーマンスが著しく低下したことから役員報酬を減じており、当該減収分が休業損害である旨を主張しました。

そして、交通事故紛争処理センターは、当事務所の主張を踏まえ、賃金センサスを踏まえた基礎収入を前提として、通院実日数を乗じた休業損害を認定しました。

その結果、休業損害は、当初の保険会社提示額0円から、約160万円に増額しました。

当事務所にて賠償交渉した各損害項目に関して、保険会社の提示額と解決額は、次の通りです。

休業損害 保険会社提示額0円 解決額約160万円

傷害慰謝料 保険会社提示額約90万円 解決額約110万円

逸失利益 保険会社提示額0円 解決額約130万円

後遺障害慰謝料 保険会社提示額約90万円 解決額110万円

代表取締役(会社役員)の休業損害

赤い本は、会社役員の休業損害について、「会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は休業損害として認容されるが、利益配当の実質をもつ部分は消極的である。」としています。

この点、会社役員の休業損害が問題となる場合には、被害者において、役員報酬のうちに占める労務対価部分を明らかにする必要があります。

そのため、被害者は、会社の規模・営業状態、被害者の職務内容・報酬額、従業員の職務内容・報酬額等を踏まえ、労務対価部分を判断する必要があります。

また、今回のケースのように、企業規模が大きくなく、役員自ら営業活動を行い、受注した業務を処理するなど、実質的には事業所得者と言える場合には、事業所得者の休業損害の算出方法を用いて、事故前後の実損分を休業損害として請求する方法も考えられます。

しかし、労務対価部分と利益配当部分が会社役員の稼働実態と適合していない場合や、支給名目等から労務対価部分と利益配当部分を判断することができない場合もあるため、労務対価部分を明らかにすることは、必ずしも容易ではありません。

そのため、実務上、保険会社は、被害者が会社役員である場合には、休業損害を否認することが多く見受けられており、被害者を救済する必要性が高いと言えます。

当事務所では、会社役員や事業所得者など、休業損害が争点となる事案においては、個々の事案に応じて、休業損害の請求方法等を詳細に検討し、保険会社に対して賠償請求をしています。

もし、休業損害でお困りのことがございましたら、当事務所までご相談ください。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

代表取締役(会社役員)について、賃金センサスを踏まえた基礎収入を前提として、通院実日数を乗じた休業損害が認定されました。