顔の障害 / 顔面線状痕・瘢痕・挫創 の解決事例

91 顔面部に第9級16号に該当する線状痕が残存した女子学生の逸失利益について、労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間20年が認められた事案

顔の障害顔面線状痕・瘢痕・挫創

後遺障害等級9級号 :顔の障害 / 顔面線状痕・瘢痕・挫創 、女子学生

外貌醜状
顔面部に第9級16号に該当する線状痕が残存した女子学生の逸失利益について、
労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間20年が認められた事案です。

  1,250
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

被害者は、自転車を運転して丁字路交差点を直進進行中、突き当り路から進行してきた四輪車に衝突され、顔面部を受傷しました。

ご依頼者のご要望

被害者は、事故により鼻の下に線状痕が2本残ってしまい、医師から線状痕が消えないと診断されているとして、後遺障害として適切な認定を受けることをご希望され、当事務所にご相談に来られました。

受任から解決まで

治療終了後、被害者請求により、後遺障害の申請をしました。

被害者は、本件事故により、顔面部を受傷し、鼻の下に2本(3.5cmの線状痕と4.0cmの線状痕があり、両者の間には約1.0cmの隙間がありました。)の線状痕が残存したことから、後遺障害の審査に当たっては、面接調査が実施されました。

当事務所は、面接調査に立会い、線状痕が適切に計測されているか等を確認しました。

そして、被害者請求の結果、後遺障害として第9級16号が認定されたことから、保険会社との間で賠償交渉を開始しました。

保険会社は、外貌醜状であることを理由として逸失利益を0円と主張し、逸失利益を認定する代わりに、第8級相当の後遺症慰謝料を認定すると主張しました(第8級の後遺症慰謝料は830万円であり、第9級の後遺症慰謝料は690万円ですので、実質的には、140万円分の逸失利益を後遺症慰謝料として上乗せするという内容です。)。

しかし、被害者は、学生であり、将来の就職に対して非常に不安な気持ちを抱いていること等から、第8級相当の後遺症慰謝料では不十分であると判断し、交通事故紛争処理センターへと申立てました。

当事務所は、被害者本人の陳述書を提出したほか、裁判例の傾向等を踏まえ、十分な逸失利益が認められるべき旨を主張しました。

そして、交通事故紛争処理センターは、労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間20年とし、逸失利益約530万円を認定しました。

その結果、最終受領額約640万円として解決しました(なお、被害者は、被害者請求により後遺障害の申請をし、自賠責保険金として既に616万円を受領しており、約640万円という金額は、自賠責保険金を除いた金額です。)。

外貌醜状の認定基準

自賠責保険は、外貌醜状について、3つの基準を設けており、①「外貌に著しい醜状を残すもの」は第7級12号、②「外貌に相当程度の醜状を残すもの」は第9級16号、③「外貌に醜状を残すもの」は第12級14号に該当します。

本件は、このうち②が認定された事案です。

「外貌に相当程度の醜状を残すもの」とは、原則として、顔面部の長さ5cm以上の線状痕で、人目に付く程度以上のものを言います。

そうすると、本件では、被害者の鼻の下には、3.5cmの線状痕と4.0cmの線状痕があり、両者の間には約1.0cmの隙間があったことから、一見すると、「長さ5cm以上の線状痕」という要件を満たさないとも思われます(仮に、「長さ5cm以上の線状痕」という要件を満たさない場合には、いずれの線状痕も第12級14号に該当することとなります。)。

しかし、自賠責保険では、例外的に、2個以上の線状痕が相隣接し、または相まって1個の線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合には、それらの長さを合算して等級が認定されます。

本件では、調査事務所は、面接調査に際して、各線状痕を個別に計測して手続きを終えようとする様子がありました。

そこで、当事務所は、2つの線状痕の隙間が僅か約1.0cmしか離れていないことから、両線状痕が相隣接し、または相まって、7.5cmの真一文字状の線状痕が残存したと評価されるべきと主張しました。

その結果、自賠責保険では、当事務所の主張を踏まえ、「顔面部の線状痕については、面接調査の結果、鼻と上唇の間に2本の線状痕が認められ、これらは相隣接していることから、それぞれの長さを合算した結果、顔面部に長さ5センチメートル以上の線状痕があるものと評価できますので、『外貌に相当程度の醜状を残すもの』として別表第二第9級16号に該当するものと判断します。」とし、被害者の外貌醜状は、第9級16号に認定されました。

このように、当事務所では、原則として、面接調査に立会い、醜状が適切に計測されているか等を確認しています。

もし、お顔やお体にキズが残り、後遺障害として認定されるかどうかご不安のある方がおられましたら、当事務所までご相談下さい。

外貌醜状が残存した場合の逸失利益

外貌醜状が残存した場合には、逸失利益が認められるかどうか、もしくは、逸失利益が認められるとしても、後遺障害等級表が規定する労働能力喪失率が認められるかどうか等の点が争点となることが多くあります。

本件では、保険会社は、逸失利益を否認し、後遺症慰謝料を増額するという提示をしました。

しかし、被害者の鼻の下には、7.5cmの真一文字状の線状痕が残存しており、将来の職務に影響を及ぼさないとは言い難く、逸失利益が認められるべき事案と考えられました。

そこで、被害者が接客業に就きたいという希望を有している点を踏まえ、被害者本人の陳述書を証拠として提出し、接客業という職務の内容からして、外貌醜状により就労の機会が制限され得ること等を主張立証しました。

その結果、交通事故紛争処理センターは、当事務所の主張を踏まえ、労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間20年として逸失利益を認定しました。

当事務所では、これまで、本件以外にも、外貌醜状が残存した事案を何件も取扱っており、当初は保険会社が逸失利益を否定していた事案でも、粘り強い交渉等により、いずれの事案でも逸失利益を獲得しております。

今後の賠償交渉等にご不安がある方がおられましたら、ぜひ当事務所までご相談下さい。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

顔面部に線状痕が残存した被害者について、労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間20年として、逸失利益が認められました。