臓器・循環器の障害 / 鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害 の解決事例

94 胸腹部臓器の障害に関して第8級相当が認定された男性会社員について、約2300万円にて解決した事案

臓器・循環器の障害鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害

後遺障害等級後遺障害別等級8級~11級号 :臓器・循環器の障害 / 鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害 、男性会社員

①腎臓の障害(第9級11号)、②大動脈解離(第11級10号)
胸腹部臓器の障害に関して第8級相当が認定された男性会社員について、
約2300万円にて解決した事案です。

  2,300
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

被害者は、四輪車を運転して、信号機が設置されておらず一時停止規制のない交差点を直進進行中、左方より交差点内に直進進行してきた四輪車と衝突し、外傷性大動脈解離等の傷害を負いました。

ご依頼者のご要望

被害者は、治療中にご相談に来られ、適切な後遺障害の認定を受けること、妥当な賠償金額を受領することをご希望されていました。

受任から解決まで

被害者より受任後、当事務所のスタッフが、被害者の通院に同行して、後遺障害を的確に立証するため、各医証を準備しました。

本件では、被害者の基本的過失割合が大きかったことから、人身傷害補償保険に対して後遺障害の申請をしました(人傷先行)。

後遺障害を申請した結果、①左腎前性腎機能障害について第9級11号、②外傷性大動脈解離について第11級10号に該当し、両者を併せて第8級相当と認定され、被害者は、人身傷害補償保険金として約1440万円を受領しました。

その後、当事務所は、加害者が加入する保険会社に対して、裁判基準により損害額を積算し、人身傷害補償保険金の充当に関して訴訟基準差額説(※)を採用した上で、賠償金を請求し、示談交渉を開始しました。

しかし、保険会社は、訴訟基準差額説を認めなかったことから、当事務所は、交通事故紛争処理センターへ申立てをしました。

その結果、交通事故紛争処理センターでは、当事務所が主張する通り、訴訟基準差額説が採用され、今後支払額約860万円として、解決に至りました。

((※)訴訟基準差額説:人身傷害補償保険金が、まず被害者の過失相当額に充当され、それを超える金額がある場合のみ、被害者の損害賠償請求権に充当される考え方のことで、被害者にとって最も有利な考え方とされる。)

胸腹部臓器の障害

自賠責保険は、胸腹部臓器の障害として、呼吸器、循環器、腹部臓器、泌尿器及び生殖器に分けて、基準を定めています。今回は、このうち、循環器及び泌尿器について、説明します。

まず、循環器の障害の態様としては、①心機能低下、②除細動器又はペースメーカー植え込み、③心臓の弁の置換、④大動脈解離があります。

ここで、大動脈解離が認定されるためには、「大動脈に偽腔開存型の解離を残すもの」という要件を満たす必要があり、この要件を満たす場合には、第11級10号が認定されます。

この点、本件では、CT検査の結果、「現在も下行胸部~腹部大動脈分岐部まで一部偽腔開存型の解離を認める」と診断されたことから、自賠責保険では、「胸部大動脈に偽腔開存型の解離が認められる」として、第11級10号と認定されました。

次に、泌尿器の障害の態様としては、①腎臓の障害、②尿管、膀胱及び尿道の障害があります。

このうち、腎臓の障害は、一側の腎臓を失った場合と失っていない場合に区分された上で、糸球体濾過値(GFR)を参照して、障害等級が認定されます。

一側の腎臓を失った場合には、GFR値(ml/分)が、30超~50の場合は第7級5号、50超~70の場合は第9級11号、70超~90の場合は第11級10号、90超の場合は第13級11号に該当し、他方で、一側の腎臓を失っていない場合には、30超~50の場合は第9級11号、50超~70の場合は第11級10号、70超~90の場合は第13級11号に該当します。

この点、本件では、被害者は、一側の腎臓を失っておらず、GFR値が44ml/分であったことから、自賠責保険では、「GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のもの」として、第9級11号と認定されました。

なお、複数の臓器に障害がある場合は、原則として、同一系列の障害として併合の方法を用いて障害等級が認定されるため、本件の場合には、大動脈解離が第11級10号し、腎臓の障害が第9級11号に該当することから、併合の方法を用いて、第8級相当となります。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

人傷先行により、人身傷害補償保険金と賠償金を合計して、過失相殺がなされない場合と同額の金員を受領することができました。