頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 の解決事例

50 頚部及び腰部受傷後の疼痛等について後遺障害非該当から異議申立てが認められ併合第14級が認定された事案

頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫

後遺障害等級併合後遺障害別等級14級 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、20代男性、会社員

頚部神経症状(第14級9号)、腰部神経症状(第14級9号)
頚部及び腰部受傷後の疼痛等について後遺障害非該当から異議申立てが認められ併合第14級が認定された事案です。

  300
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

駐車場内で停車中に、後退してきた自動車に衝突されました。

ご依頼者のご要望

治療中の段階において、治療終了後の後遺障害申請や示談交渉等についてご相談を受けました。

受任から解決まで

被害者の頚部及び腰部に疼痛等が残存しましたが、自賠責に対する初回の後遺障害申請で非該当でした。

当事務所は、非該当と判断された原因を分析したうえで、新たに主治医から書面を取り付ける等して、自賠責に対し異議申立てを行いました。

その結果、被害者の症状について、併合第14級が認定されました。

当事務所は相手方保険会社との間で示談交渉を行い、慰謝料等についてはほぼ裁判基準で解決に至りました。併合第14級の認定から解決まで約1ヶ月でした。

異議申立

初回の後遺障害申請結果は非該当でした。

非該当の理由は、頚部受傷後の症状及び腰部受傷後の症状それぞれについて「画像上、本件事故による骨折等の器質的損傷は認められず、後遺障害診断書からも症状の残存を裏付ける他覚的所見は認め難いことに加え、その他受傷形態、治療状況等も勘案した結果、将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難いことから、自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。」という内容です。頚部及び腰部について、全く同じ記載です。

実のところ、この記載は、自賠責が後遺障害第14級9号「局部に神経症状を残すもの」に該当しないと判断した場合に使う定型の文言なのです。

問題は、何故、非該当となったのか、その本当の理由が記載されていないことです。また第14級9号「局部に神経症状を残すもの」の実質的な認定要件は公表されていないことから、認定実績から認定要件を推測することが必要になります。

当事務所では、後遺障害第14級9号「局部に神経症状を残すもの」に認定された事例と認定されなかった事例の比較から、第14級9号に認定されるためには、少なくとも次の条件が必要と推測しています。

条件1:受傷直後から症状固定まで症状が一貫していること

条件2:受傷直後から症状固定まで頻繁に通院し、通院の空白期間がないこと(整形外科への通院のこと。接骨院や整骨院への通院は原則として対象外。)

本件の被害者については、後遺障害診断書に、傷病名として「外傷性頚部症候群、腰椎捻挫」、自覚症状として「項頚部の慢性持続性疼痛、頸椎動作痛と可動域制限、左手尺側2指の持続的しびれ、左手握力低下、腰殿部・右下肢背側の慢性持続性疼痛、胸腰椎の動作痛」といった記載があり、経過の診断書上、これらの症状は一貫していることから、症状の一貫性(条件1)については問題ないと考えました。

他方で、被害者は、事故から症状固定まで、整形外科と接骨院を併用し、そのうち整形外科への通院回数は40回足らずでした。

このため、当事務所では、後遺障害非該当の理由は、整形外科への通院頻度が少なため、条件2を満たしていないと推測しました。

そこで、当事務所では、整形外科だけでは通院頻度が少ないものの、併用していた接骨院への通院回数を含めると、通院頻度は少なくないことを証明することとしました。

具体的には、接骨院での施術について、主治医がリハビリ治療として認める内容の「確認書」を主治医から取り付けました。この確認書に基づき、接骨院への通院を含めると、事故から症状固定まで、頻繁に通院していたことを証明しました。また、症状の一貫性を補充するため、「神経学的所見の推移について」及び「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」を主治医に記載してもらい、被害者の項頚部痛、背部痛、上肢のしびれ等について、初診日から症状固定日まで一貫していることを証明しました。以上の「確認書」、「神経学的所見の推移について」及び「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」に基づき、異議申立てを行いました。

その結果、自賠責は、被害者の頚部及び腰部それぞれの症状について、「症状の一貫性が窺われ、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられますので、『局部に神経症状を残すもの』として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。」として併合第14級に該当すると判断しました。

示談交渉

当事務所は、自賠責に対する異議申立てによって後遺障害併合第14級が認定されたことを受けて、相手方保険会社に対し、通院慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料を請求しました。

任意交渉で、通院慰謝料98万円(通院9ヶ月の裁判基準109万円の90%)、後遺障害逸失利益86万円(事故前収入を基礎に5%・5年間。裁判基準満額)、第14級後遺障害慰謝料110万円(裁判基準満額)で合意し、解決に至りました。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

自賠責の後遺障害が認定されて初めて後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料を請求できるため、後遺障害が認定されるかどうかは、賠償金額に大きく影響します。

頚椎捻挫や腰椎捻挫が後遺障害第14級9号に該当するかどうかの自賠責の審査において、症状の一貫性や整形外科への通院頻度が重視されているようです。

本件では、主治医が、接骨院での施術をリハビリとして認める確認書を取り付けて異議申立てを行い、自賠責後遺障害併合第14級が認定されたことで、最終受領金額約300万円で解決に至りました。

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