鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害 / 鎖骨骨折 の解決事例

47 入通院慰謝料について通院頻度が少ないものの通院回数の3.5倍制限ではなく、通院期間に基づき慰謝料が認定

鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害鎖骨骨折

後遺障害等級後遺障害別等級14級9号 :鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害 / 鎖骨骨折 、70代男性、無職

肩部神経症状
入通院慰謝料について通院頻度が少ないものの通院回数の3.5倍制限ではなく、通院期間に基づき慰謝料が認定された事案。鎖骨骨折後の痛みについて後遺障害第14級9号が認定された事案。

  320
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

依頼者が横断歩道上を自転車で走行中、自動車に衝突された交通事故です。

ご依頼者のご要望

鎖骨骨折後、完全に骨癒合しない状態が続いていました。鎖骨遠位端骨折後の肩の痛み及び肩関節の可動域制限について後遺障害が認定されるかご相談を受けました。

受任から解決まで

受任後、後遺障害診断書を取得し、弁護士が被害者を代理して後遺障害の申請(被害者請求)を行いました。自賠責において、鎖骨骨折後の痛み残存について第14級9号が認定されました。

弁護士が相手方保険会社に対し賠償請求を行い、任意交渉でほぼ裁判基準で解決しました。受任から解決まで約6ヶ月、うち賠償交渉開始から解決まで約1ヶ月でした。

後遺障害認定

当初ご相談を受けた際、①鎖骨遠位端骨折後の痛み、②肩関節の可動域制限が問題でした。

その後、症状固定の段階で、②肩関節の可動域制限は改善したため、①鎖骨遠位端骨折後の痛みについて、その痛みの原因が鎖骨骨折後の「遷延癒合」、「偽関節傾向」であることを明記した後遺障害診断書を取得し、後遺障害の申請を行いました。その結果、自賠責から次のとおり後遺障害の認定を受けました。

「肩部の痛みについては、骨折の状態、症状経過、治療経過等を勘案すると、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、『局部に神経症状を残すもの』として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。」

示談交渉

争点は、①傷害慰謝料(入通院慰謝料)、②後遺障害慰謝料でした。

弁護士が相手方保険会社に対し、いずれについても裁判基準に基づき賠償請求を行い、①傷害慰謝料についてほぼ裁判基準の約145万円で、②第14級後遺障害慰謝料についてほぼ裁判基準の約100万円で解決に至りました。

【交通事故賠償項目】傷害慰謝料(入通院慰謝料)

【交通事故賠償項目】後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)

また、賠償交渉においては、傷害慰謝料(通院慰謝料)や後遺障害慰謝料について、裁判基準を示して交渉することで、保険会社基準より高い金額の慰謝料を受領できました。

通院頻度が少ない場合の入通院慰謝料

傷害慰謝料は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(以下、「赤い本」といいます。)の入通院慰謝料別表Ⅰ/Ⅱを基準に、原則として入通院期間を基礎として算出されます。

ここで、よく問題となるのが、「通院が長期にわたり、かつ不規則である場合は実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある。」とする赤い本の記載です。

骨折等の治療においては、安静を保った状態で経過観察を行うことが多いため、通院頻度は必然的に少なくなります。このような場合、相手方保険会社は、通院実日数の3.5倍を通院期間として主張し、慰謝料を少なく見積ってくることが多いのです。例えば、骨折により症状固定まで6ヶ月、通院実日数15日の場合、入通院慰謝料別表Ⅰにより通院6ヶ月の慰謝料116万円が認められるべきところ、保険会社は、多くの場合、通院実日数15日×3.5÷30日=1.75月として、通院1.75月の慰謝料として46万円と主張するのです。

しかし、治療期間6ヶ月で、定期的に経過観察のため通院していた場合には、赤い本の「通院が長期にわたり、かつ不規則である場合」に該当しません。

また、赤い本は「実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある。」とするとおり、一律3.5倍に制限するとは記載していません。

骨折等による経過観察のため、通院頻度が少ない場合にも、原則として、通院期間を基礎として入通院慰謝料を請求すべきです。慰謝料について、適切な金額かどうかご確認されたい方は、是非弁護士へご相談ください。

裁判基準(赤い本基準)とは

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

鎖骨骨折後の痛み残存について、その痛みの原因が「遷延癒合」、「偽関節傾向」であることを後遺障害診断書に明記したことで、第14級後遺障害認定を受けることができました。

また、賠償交渉においては、傷害慰謝料(通院慰謝料)や後遺障害慰謝料について、裁判基準を示して交渉することで、保険会社基準より高い金額の慰謝料を受領できました。