上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 / 橈骨・尺骨骨折 の解決事例

66 第10級10号の後遺障害を残した50代女性会社員について、保険会社が提示した約520万円から、最終受領額1250万円に増額した事案

上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害橈骨・尺骨骨折

後遺障害等級10級10号 :上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 / 橈骨・尺骨骨折 、50代女性、会社員

右手関節の機能障害
第10級10号の後遺障害を残した50代女性会社員について、保険会社が提示した約520万円から、最終受領額1250万円に増額した事案。

  1,250
万円
保険会社提示額 520 万円
増加額 730 万円

交通事故状況

被害者は、原動機付自転車を運転して信号機により交通整理の行われていない丁字路交差点を直進進行中、左方より右折してきた四輪車に衝突され、右橈骨遠位端骨折の傷害を負いました。本件事故の基本過失割合は、被害者30%、加害者70%です。

【交通事故賠償項目】過失割合について

ご依頼者のご要望

被害者は、保険会社から損害賠償金の提示を受けており、提示金額が妥当かどうか確認するため、ご相談に来られました。

受任から解決まで

保険会社の提示金額を確認したところ、逸失利益と後遺障害慰謝料を合計して461万円と提示されており、裁判基準と比較して大きな差がありました。

そこで、当事務所にて受任後、各損害を裁判基準により算出して、賠償交渉を開始しました。

保険会社は、当初、労働能力喪失期間5年、後遺障害慰謝料385万円(裁判基準550万円の70%)と主張しましたが、その後も賠償交渉を継続し、最終的に、逸失利益約980万円(労働能力喪失期間は67歳に至るまでの16年)、後遺障害慰謝料550万円と、いずれも裁判基準満額の損害額が認定されたため、任意交渉により示談に至りました。

その結果、保険会社が当初提示していた約520万円から、最終受領額1250万円に増額しました。

後遺障害部分の損害賠償

保険会社は、被害者に対して、逸失利益と後遺障害慰謝料を合計して461万円と提示していましたが、461万円という数字がどのように算出されたかご存知でしょうか。

被害者は、右橈骨遠位端骨折による右手関節の機能障害について第10級10号の後遺障害が認定されていますが、実は、461万という金額は、第10級に相当する自賠責保険の支払金額です。

通常、保険会社(ここでは、加害者が加入する任意保険会社のことを言います。)は、一括対応により、自賠責保険金部分を含めて損害賠償金を支払いますが、このうち、自賠責保険金部分については、被害者との間で示談を締結した後、加害者が加入する自賠責保険会社に対して求償を行います。

そうすると、保険会社としては、被害者に支払う損害賠償金を自賠責保険金の範囲内に収めることで、損害賠償金を実質的に負担することなく、交通事故を解決することが可能となります。

今回のケースで言うと、保険会社は、被害者に対して、損害賠償金として逸失利益と後遺障害慰謝料を合計した461万円を支払った後、自賠責保険に対して、第10級に相当する自賠責保険金である461万円を求償して回収することになります。

しかし、これでは、被害者は、本来であれば受領することが可能であった損害賠償金を下回る自賠責保険金しか受領することができないため、妥当な結論とは到底言えません。

本件では、当事務所にて受任後、弁護士が賠償交渉をすることにより、逸失利益及び後遺障害慰謝料のいずれも裁判基準満額にて解決することができ、保険会社が当初提示した損害賠償金と比較して、大きな増額を実現することができました。

実務上、被害者に後遺障害が認められた場合、逸失利益と後遺障害慰謝料を合計して自賠責保険金の支払金額を提示されることは珍しくありません。

そのため、もし、保険会社から提示された賠償金額が妥当かどうかご不安のある方がおられましたら、示談される前に、一度、弁護士にご相談されることをお勧め致します。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

逸失利益及び後遺障害慰謝料につき、裁判基準の満額が認定されました。

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