TFCC損傷 / 上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 の解決事例

78 今後支払額が約300万円から約1000万円に増額した事案。

TFCC損傷上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害

後遺障害等級号 :TFCC損傷 / 上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 、30代男性、会社員

右手関節の機能障害
今後支払額が約300万円から約1000万円に増額した事案です。

  1,000
万円
保険会社提示額 300 万円
増加額 700 万円

交通事故状況

自転車を走行していたところ、右方より走行してきた四輪車に衝突されました(右手関節TFCC損傷)。

ご依頼者のご要望

被害者の方がご自身で被害者請求をして第12級6号が認定されており、相手方保険会社との賠償交渉を依頼したいとのご相談を受けました。

受任から解決まで

受任後、相手方保険会社に賠償請求をしたものの、相手方保険会社が速やかに対案を提示しなかったことから、交通事故紛争処理センターへと申立てをし、裁判基準での解決を図りました。

示談交渉

交通事故紛争処理センターに申立て後、逸失利益が最大の争点となりました。

相手方保険会社は、本件事故前年の実収入約300万円/年を基礎収入とすべきであること、労働能力喪失率を7%とすべきであること等から、今後支払額約300万円と主張しました。

これに対して、当事務所では、被害者の方が本件事故当時30代前半であること、事故当時は派遣社員であったものの、事故がなければ既に正社員となっていた可能性が高いとして、大卒の平均賃金を基礎収入とすべきである等と主張しました。

また、労働能力喪失率は、第12級相当の14%を下回らないと主張しました。

交通事故紛争処理センターは、当事務所の主張を受け、事故前年の実収入を大幅に上回る500万円/年を基礎収入としました。

また、労働能力喪失率についても、第12級相当の14%と認定しました。

その結果、交通事故紛争処理センターは、今後支払額約1000万円との斡旋案を提示しました。

逸失利益の基礎収入

逸失利益は、基本的に、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で算出されます。

この点、赤い本は、有職者の基礎収入について、「原則として事故前の収入を基礎として算出する。

現実の収入が賃金センサスの平均額以下の場合、平均賃金が得られる蓋然性があれば、それを認める」としています。

そのため、事故前の実収入が平均賃金を下回る場合において、平均賃金を基礎収入とするためには、被害者の方が平均賃金を得られる蓋然性を立証しなければなりません。

このような場合には、例えば、勤務先の賃金規定を証拠として提出したり、今回のケースのように、被害者の方が派遣社員であるときは、募集要項や同年代の正社員の収入を証拠として提出して、事故がなければ既に正社員として勤務していたと主張・立証すること等が考えられます。

しかし、「蓋然性」まで立証することは決して容易ではなく、相手方保険会社が平均賃金を基礎収入とすることを認めないことは多々あります。

もし、逸失利益についてもっと良く知りたい、平均賃金を基礎収入として賠償を受けることができるか不安がある等のご相談がある方がおられましたら、ぜひ当事務所までご連絡ください。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

正社員の募集要項や被害者本人の陳述書を証拠として提出することで、被害者の勤務先における同年代の正社員と同程度の収入を基礎収入として認定を受けることができました。